6月11日衆議院内閣委員会 反対討論 (上村英明議員)

 

れいわ新選組の上村英明です。私は独立行政法人男女共同参画機構法案並びに同整備法案につき、会派を代表して反対の立場から討論いたします。

ジェンダーギャップ指数が最新の2024年の調査で148カ国中118位であることからも明らかなように、残念ながら日本の男女共同参画が政治参画や経済参画を中心に未だに遅れている状況は2001年に国立女性教育会館ヌエックが独立行政法人化以降も深刻です。

我が国において男女共同参画を進めるための施策や、その拠点となるべき、現在のヌエックそして全国の男女共同参画センターの機能や体制を強化することは、名目的には重要です。今回の法案において各地の男女共同参画センターを法的に位置づけ、新しい機構との連携やそのネットワークの強化を目指すことには一般論として異議はありません。

しかし、両法案によって、ヌエックの機能強化や男女共同参画施策の充実が図られるとは残念ながら思えません。政治参画や経済参画など深刻な女性差別が横行する日本で取り組むべきは、本法案が想定している男女共同参画機構の主要業務、例えば広報啓発活動、オンラインでの研修教育プログラムの提供、地域における人材教育だけでは不十分です。特にコロナ禍時代に流行したオンライン、テレワークを中心とするネットワーク事業展開には耳を疑います。

男女共同参画機構がセンター・オブ・センターズとして各地の男女共同参画センターとの連携をしながら、深刻な課題に向き合うには宿泊・対面ならではの、生き生きした意見交換、情報交換、人材育成の場となるヌエックの従来の宿泊研修施設は、むしろこれからの時代に不可欠です。国際会議にも対応でき、バリアフリーの優れた施設です。多くの反対意見を押し切る形で法案で明確にされた宿泊研修施設棟の撤去はその点、本末転倒です。

他方、男女共同参画に対する財政支援も深刻です。ヌエックに対する運営費交付金は、2001年の独立行政法人化以降、削減され続けてきました。2001年には7億2400万円だった交付金は、2024年には34%もの減少となっています。2012年に提出された文科省の報告書は、ネットの課題として宿泊施設が運営を圧迫しているが、その理由は男女共同参画を国の重要施策と位置づけながら、責任を持って財政支援を行わなかった国の無責任さが指摘されています。この財政支援の問題は各地の男女共同参画関連施設の問題にも懸念を生みます。地方自治体の男女共同参画センターは2022年の356ヶ所をピークに2024年は349ヶ所への減少に転じており、老朽化施設が今後急増する現状では、政府が運営交付金等による十分な財政支援などを考えなければ、こうした法案の成立と同時に、むしろ男女共同参画機構や男女共同参画センターが、全体として機能縮小、閉鎖されるのではないかという懸念が生じます。

法案の目的は現ヌエックや全国の男女共同センターの機能強化を図ることですが、本法案でその逆のことが起これば、それは女性に対する言論や表現の自由などの人権侵害となりかねません。よって両法案には賛成できないことを表明し、れいわ新選組を代表して反対討論といたします。ありがとうございました。